目のコラム

色覚検査が2003年から廃止されたワケとは?

2003年(平成15年)、小学校4年生を対象とした定期健康診断の「色覚検査」が廃止されたことを知っていますか?「子供の色覚に異常がないか調べる」という子供のために行われていた検査であるにもかかわらず、文部科学省はなぜ廃止をしてしまったのでしょうか?

色覚検査を廃止した背景には、様々な理由があります。 しかし、病気の場合の色覚異常は早めに発見しなくてはいけません。今回は、「色覚検査が廃止された理由」と「色覚異常と病気」について解説していきます。

色覚検査とは?

色覚異常があると、 特定の違う色同士の組み合わせが「同じような色に見えてしまう」または「見えづらい」という症状が現れます。そこで色覚検査では、「特定の色を組み合わせた図形」を被験者に見てもらい、色の区別ができているかどうかを調べます。 この検査方法を色覚スクリーニング検査と呼びます。

色覚異常があると見えづらい「特定の色の組み合わせ」例は以下のようなものになります。

色覚異常があるとみえづらい色の組み合わせ

  • 赤と緑
  • 橙と黄緑
  • 茶と緑
  • 青と紫
  • ピンクと白orグレー
  • 緑と黒orグレー

色覚スクリーニング検査では、上記の色の組み合わせを使って検査をしています。2002年までは、学校保健法施行規則の定期健康診断の一つとして、「色盲(色覚異常)」があるかどうかを判断するために色覚検査が行われてきました。

色覚検査が廃止された理由

「色覚検査が差別につながる可能性がある」こと、「色覚に異常があっても日常生活に問題はない」という理由から2003年3月に色覚検査は廃止されました。

この色覚検査廃止の大きな理由としては、入学や就職前の「色覚検査の結果が原因で、内定や合格をもらえなくなる事態を防ぐため」というのがあります。実際に色覚異常があっても、それまでは問題なく日常生活を送っていたのに、学校で行われた色覚検査の結果が原因で、家庭や学校で差別や偏見の目で見られることになってしまい、苦労してきた方が多くいるというのも事実です。

確かに、電車や車の運転士のようなどうしても色覚が必要となる職業の場合、色覚検査は必要ですが、日常生活を送る分にはさほど問題はありません。そして、世の中の大半の職業は色覚異常があったとしても「問題がない」ものがほとんどです。

このことから、学校の健康診断で色覚異常を調べる必要はないとされ、現在学校での色覚検査は廃止に至っています。

色覚異常と病気

色覚異常には先天性と後天性があります。先天性の場合は病気ではなく、遺伝によるものだと言われており、現在治療法はありません。一方、後天性の場合は病気の可能性が高く、治療が必要になります。

ここでは、後天性の色覚異常を引き起こす病気の解説をしていきます。

白内障

加齢などが原因で、黒目が白くなり見えにくくなってしまう病気です。若い時は視界がクリアで鮮やかに見えていた人も、白内障になると茶色がかったり、白くくすんだ景色に見えるようになります。

白内障初期の段階ならば、 薬で進行を遅らすことが可能ですが、白内障は徐々に進行していくため自覚症状が現れにくいという特徴があります。「気が付いた時には白内障だった」というケースが多くあり、その時にはもう手術で治療する段階にきている場合がほとんどです。白内障の手術は、濁ってしまった水晶体をクリアな水晶体に交換するという手術です。現在は日帰りで手術を行えるようになっています。

緑内障

視神経に異常がり、視野が狭くなったり、目が見えにくくなってしまう病気です。眼圧が高くなってしまったことが原因で緑内障を引き起こすことが多いとされています。

緑内障はすぐに手術が必要なケースと、徐々に進行していくケースの2つに分かれます。 ほとんどの場合が徐々に進行していくケースであり、 少しずつ視野が狭くなっていくため自覚症状が起こりにくいと言われています。治療法は薬で眼圧をコントロールする方法と、 レーザーで眼圧を抑える方法があり、この2つの方法で効果が得られなかった場合は、外科手術となります。

緑内障は現代の医療では完治させるまでには至っておらず、進行を遅らせる治療となるため、症状に早めに気が付くことが大切です。

大脳疾患

脳で色覚の判断している「後頭葉」と呼ばれる部分に異常が起きると、色覚異常が起こる場合があります。脳梗塞などの大脳疾患が原因で起こることがあり、この場合は早急に病院を受診する必要があります。

まとめ

今回は「色覚検査が廃止された理由」と「色覚異常と病気」について解説いたしました。

後天性の色覚異常は、 自覚症状が出にくい病気が多いですが、定期的に眼科で検診を受け早めに病気に気が付くことが大切です。 色覚検査は現在では学校の健康診断では行われてはいませんか、 希望者は眼科で色覚検査を受けることができます。

色覚が必要となる職業を希望する場合は、眼科で一度色覚検査を受けてみることをおすすめします。