目の病気

スポーツマンは気を付けて!眼窩底骨折の恐ろしさ

時々、ニュースやスポーツ記事で見かけることのある「眼窩底骨折」。ボクサーや力士など、格闘技を行う人がなりやすい骨折だと言われますが、元気な小さい子どもにも起きやすい骨折です。

酷い場合は視力に障害が残ることもある怪我です。眼窩底骨折の起きるメカニズムとその治療法、後遺症について詳しく見ていきましょう。

眼窩底骨折とは?

「眼窩」とは、頭蓋骨のくぼみで、眼球が収まっている場所のことです。眼窩には眼球だけでなく、眼球を動かすための筋肉や、痛みを感じる神経、「物を見る」ための神経(これを「視神経」と言います)、眼球に酸素などの必要な物質を運ぶための血管、クッションの役割を果たす脂肪なども収まっています。

眼窩は、底面が四角のロードコーンのように奥へ行くほど狭まるような形をしており、奥に行くほど、また下面の骨ほど薄くなっています。このため、眼のあたりに急に大きな力が加わると、眼窩に大きな圧力がかかり、特に薄い部分の骨が骨折してしまうことがあります。これが眼窩底骨折です。骨の薄い眼窩の底の部分が抜けたようになるため、このような骨折を「吹き抜け骨折」とも呼びます。痛みを伴い、鼻からの出血が見られることもあります。

眼窩は眼球よりも弱いため、眼窩骨折が起きても眼球は損傷から守られるケースが多いですが、眼球の一部や眼球に付いている筋肉・神経などが骨折した部分に挟まって動かなくなってしまうことがあります。これによって、眼球の動きが制限されることで物が二重に見えたり(これを「複視」と言います)します。また、眼窩の下壁には知覚のための神経が走っており、これが損傷してしまうと、頬~上唇の辺りの感覚が麻痺します。鼻腔の上に空いている空洞(これを「副鼻腔」と言います)に眼球などが飛び出ると、その分だけ眼球が落ち窪んでしまい、顔付きが変わってしまうこともあります。

眼窩を損傷するような強い衝撃を受けた場合は、脳へのダメージも想定されます。脳の損傷による影響は怪我をしてから数時間以上経過してから現れ始めることが多く、急に吐き気が起きたり意識を失ったりすることになります。そのような状態になると治療を開始しても回復が見込めないケースがあります。できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

眼窩底骨折が起きやすい場面

眼窩底骨折は、スポーツをする人に多く起こり、特に、ボクシングやレスリングといった格闘技やラグビーやアメリカンフットボールなどの接触の多いスポーツをする人に多い骨折です。交通事故などで強い衝撃を受けた場合にも起きます。

また、ゴルフも眼窩底骨折が起きやすい娯楽の1つです。誰もが気軽にできるスポーツですが、ゴルフボールという非常に硬い物が飛ぶため、注意が必要です。

眼窩底骨折の治療法

眼窩底骨折の疑いがある場合、まずCT検査等で骨折の状態を調べます。調べてみて実際に骨折が見つかった場合も、筋肉が骨折部に挟まっている・眼球の陥没といった症状が見られなければ、手術はしません。2週間程度、経過を観察してみて、骨折部の腫れや出血が治ると複視は改善してきます。血管を収縮させるような鼻腔スプレーを使用すると、出血は最小限に抑えることができます。また、氷を当てるなどして冷やすことで痛みや腫れを軽減させることができ、就寝の際には枕を高く保つことで腫れを抑えることができます。

骨折部分に筋肉や眼球の一部、神経などが挟まって眼球陥入が生じている場合は、顔面の骨を外科的に整える手術が必要となります。骨を元の位置に戻して、薄いプラスチック片や移植用の骨を用いることで、骨を結合するという手術です。通常、全身麻酔で行います。

また、骨折が回復するまでは鼻をかまないように気をつけなければなりません。眼窩の骨が折れていると、鼻腔との隔壁に隙間が空いている状態になるので、鼻をかむことで押し出された空気が、眼窩の周りの皮下組織に溜まり込んでしまい、腫れあがることがあります(これを「皮下気腫」と言います)。

眼窩底骨折の治療は保険適用される?

眼窩底骨折の治療には健康保険が適用されます。また、治療費が高額になる場合、高額医療費制度を用いることで、費用を抑えることができます。治療したいけれど費用が気になるという場合は、担当医師や医療機関の事務にその旨を尋ねてみましょう。

眼窩底骨折により予想される後遺症

適切に手術をすることで、眼球の動き(複視)や眼球陥没、頬から上唇の感覚の麻痺といった症状は回復するが期待できます。しかし、損傷の程度によって回復の程度は大きく異なります。

骨折部に視力に関係する神経が挟まってしまい、酷く損傷した場合などには、視力障害が残ることも考えられます。

まとめ

スポーツをする人にとっては身近な怪我である「眼窩底骨折」、酷い場合には視力に傷害が残ることもあり、選手生命に大きく影響してしまうことになりかねません。

眼の周りの怪我には十分に注意し、実際に怪我が起きた場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

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