目の病気

春に悪化するアレルギー性結膜炎「春季カタル」とは?

聞きなれない「春季カタル」という名前ですが、子どもを持つ人たちにとっては無関係ではいられない症状です。今回は、春季カタルの詳しい症状やその原因、治療法、さらに家で出来るセルフケアについて見ていきましょう。

春季カタルとは?

春季カタル

春季カタルとは、アレルギー性結膜炎の重度のもので、小児に多くみられます。特に小学生くらいの年代の男の子に見られることが多いようです。症状は年中起こる可能性がありますが、特に春先など季節の変わり目に悪化することが多いため「春季カタル」という名前がついたと言われています。

アレルギー性結膜炎とは、何かしらの異物から身体を守るために、免疫反応が過剰に出てしまうことで、結膜(眼球の一番外側の膜のこと)に炎症が起きてしまい、激しいかゆみを感じたり目やにが大量に出たりします。

このような免疫反応を一般にアレルギー反応と呼び、アレルギー反応を引き起こす異物を「アレルゲン」といいます。よくあるアレルゲンとしては、花粉やカビ、ダニ、ハウスダスト、ペットの毛などが挙げられます。春季カタルと判断される特徴的な症状は、かゆみを伴う目の充血、目の浮腫、目やになどです。このような症状に加えて、元々アトピー体質である場合も、春季カタルの可能性が高いでしょう。

春季カタルの症状

春季カタルに特徴的な症状には様々あります。1つずつ見ていきましょう。

症状1.かゆみ

春季カタルの最も典型的な症状がかゆみです。

アレルギー反応の1つですが、非常に強いかゆみを感じることが多く、日常生活に支障が出ることも多いでしょう。特に子どもの場合、かゆみを感じると、強く手指や爪でひっかいてしまうことがあり、アレルギー症状によってデリケートになっている目の周りの皮膚がさらに弱る原因となります。

症状2.めやに(眼脂)

春季カタルになると、目やにが大量に出ることがあります。アレルギー性の目やには、アレルゲンをまぶたの外に排出しようとして出てくるもので、ねっとりした粘性の高いものであることが多いようです。ねばっとした目やにがたくさん出る場合、春季カタルの可能性が高いと言えるでしょう。

症状3.まぶたの裏側の発疹(上眼瞼結膜の乳頭)

まぶたのことを「眼瞼(がんれん)」といい、上まぶたのことを「上眼瞼」といいます。

春季カタルの特徴的な症状のとして、上眼瞼の裏側にブツブツとした発疹のようなもの(これを「乳頭」と呼ぶこともあります)ができたり、粘膜が盛り上がったりすることがあります。重症になると、これが大きくなることがあり、これが角膜を障害してしまうことで、視界を遮ったり痛みを感じることもあります。さらに、視力が下がってしまう可能性もあります。

春季カタルの原因

春季カタルは、重度のアレルギー性結膜炎であるため、原因は「何かしらのアレルゲン」であると言えます。どのようなアレルゲンに対して症状が出るかは人それぞれに異なっており、複数のアレルゲンに対して症状を起こす人もいます。

例えば多いのは花粉です。スギやヒノキなどの樹木の花粉、ヨモギやブタクサなどの雑草類の花粉、イネ科の花粉などがアレルゲンとしてよく挙げられます。また、特定の植物の花粉に長期間晒されるような職業の人は、その花粉に対してアレルギー症状を発症することがあります。例えば、リンゴやナシ、サクランボといった果物の栽培農家の人や、バラ、コスモスといった観賞用生花を育てる農家の人などです。
また、近年は住宅が狭くなってきているため、通気性が十分に確保できていない事が多くあります。そのような住宅の場合、ホコリが溜まりやすかったり、ダニやカビが発生しやすかったりして、春季カタルのようなアレルギー性の症状を誘発する要素になります。

春季カタルの治療法

春季カタルの治療法には3つの段階があります。1つずつ順を追って見ていきましょう。

原因アレルゲンを特定する

春季カタルはアレルギー性の症状であるため、原因となっているアレルゲンを特定することから始めます。

アレルゲン特定の方法はとしては、疑いのあるアレルゲンを手足の皮膚の一部に少量だけ塗布してみて、その部分が赤くなったりかゆみが生じたりするかどうかを観察する、「パッチテスト」という方法や、血液を採取して検査をする方法などがあります。

パッチテスト

パッチテスト

症状によって治療を選択する

アレルゲンが特定できたら治療に入ります。

春季カタルはアレルギー性結膜炎であるため、抗アレルギー点眼薬による薬物治療が中心になります。症状が強い場合はステロイド点眼薬を併用します。

ここで注意しておいてほしいことがあります。近年、マスメディアを中心に「ステロイドは危険だ」という根拠のない説が取り沙汰されることが多々ありますが、ステロイド薬は決して「危ない医薬品」ではありません。特に小児の場合、保護者がステロイドの使用を忌避することが見られますが、適切な量を適切な期間使用すれば、大きな副作用などが出ることは稀です。

ステロイド薬は、炎症を起こす原因物質が体内で産生されることを抑制する効果があります。小児の場合、眼圧が上昇することがあるため、定期的な検査は必要です。改善が見られたらステロイド点眼薬の使用は控えていきます。ステロイド点眼薬に限らず、服用している薬について、どうしても不安な場合はかかりつけ医に相談するようにしましょう。また、ステロイド薬やその他の薬を服用中に何か不具合が生じた場合も、自己判断で服用を完全に中止するのではなくて、出来るだけ早く医師に相談をして、中止か継続かを決めましょう。

また、巨大な乳頭などがある場合には外科的な手術を行って除去することもあります。

重症の場合は別の治療薬を検討する

近年、新しい点眼薬が開発され、ステロイド点眼薬だけでは不十分だった重症の場合も、「免疫調整薬」という種類の薬を同時に用いることで、症状の改善が期待できます。現在では、2 種類の免疫抑制点眼薬が、春季カタル治療薬として認可されており、症状の程度によって使い分けがされます。

春季カタルの予防法

春季カタルはアレルゲンに対する過剰な防衛反応のために起こる症状ですから、日常生活の中である程度予防することが可能です。

予防1.アレルゲンを除去する

春季カタルのアレルゲンの特定ができたら、そのアレルゲンを生活から出来るだけ除去するように努めます。食べ物であれば食事からのぞいたり、花粉などがアレルゲンであれば、帰宅したら玄関の前で衣服についた花粉を払い落とすなどの対策ができます。また、ダニなどがアレルゲンであれば、部屋の掃除をこまめにしたり、寝具をこまめに天日干しや洗濯したり、家全体の換気ををよくしてアレルゲンの発生を抑えたりなどします。空気清浄機の利用も効果的でしょう。

予防2.アレルゲンに接触しないようにする

花粉などの飛散物がアレルゲンである場合、メガネやマスクの装着が効果的でしょう。

最近では、花粉対策用のメガネも様々なメガネ専門店で販売されています。その様な便利なグッズを導入してみるのも良いでしょう。

また、コンタクトレンズはアレルゲンを付着しやすいため、アレルギー症状が出ている場合は、コンタクトレンズの装着を出来るだけ避けるようにしましょう。

予防3.洗眼液で目を洗う

眼球の表面に付いたアレルゲンを洗い流すのも、症状を予防するために効果的でしょう。

家庭で日常的に使える洗眼専用の液はドラッグストアで簡単に手に入りますが、カップ式の洗浄器具は目の周囲の皮膚の汚れやアレルゲンを目の中に接触させることにもなるので、オススメではありません。点眼式の人口涙液による洗眼が良いでしょう。

予防4.濡れタオルでまぶたを冷やす

濡らしたタオルでまぶたを冷やすことで、炎症によるかゆみや腫れをある程度抑えることができます。

予防5.花粉が多くなる少しから点眼薬を使用する

花粉がアレルゲンである場合、花粉が多くなる時期のだいたい2週間前から、抗アレルギーの点眼薬を使用してみましょう。これによって、花粉の飛散量がピークに達する時期の症状が緩和されます。また、かゆみや充血といったアレルギー反応の症状が少しでも現れた時点で点眼薬を使用し始めることでも、症状を穏やかにすることが可能です。

まとめ

長い冬が終わり、楽しみもたくさんある春に、悪化してしまうことの多い「春季カタル」ですが、きちんと早めに予防しておけば、症状が酷くなることは避けられます。小学生のお子さんのいる家庭では特に注意して、お子さん自身でケアが出来るように、促してあげましょう。