目の病気

眼窩脂肪ヘルニアの原因と治療法とは?人相が変わってしまうことも…

「眼窩脂肪ヘルニア」、普段の生活では、聞く機会が少ない病気ですが、決して珍しいものではありません。軽症であれば、皮膚のたるみにも見えますが、放置しておくと人相が変わってしまう可能性もあり、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

そのような眼窩脂肪ヘルニア、詳しい症状とその原因、治療法、さらにセルフケアの是非について、順を追って見ていきましょう。

眼窩脂肪ヘルニアとは?

眼窩脂肪ヘルニアとは?

多くの人にとって「眼窩脂肪ヘルニア」というのはあまり耳慣れない病名だと思いますが、「ヘルニア」という言葉は、誰しも一度は耳にしたことがあるかと思います。「椎間板ヘルニア」や「腰椎ヘルニア」など、自分や身近な人がこのようなヘルニアの症状に悩まされたことがある人は少なくないでしょう。

ヘルニアとは、「体内の臓器(組織)が本来あるべき場所からずれてしまった状態」のことを指します。つまり、椎間板ヘルニアであれば、背骨の間にある椎間板が少し飛び出してしまった状態のことですし、腰椎ヘルニアであれば、腰の辺りの骨がずれてしまった状態を指します。

したがって、眼窩脂肪ヘルニアとは、「何らかの原因によって、眼窩脂肪が正しい位置からずれてしまった」状態です。

「眼窩」とは、眼球が収まっているくぼみのことです。ちょうどドクロを思い浮かべてもらうと、分かりやすいでしょう。眼窩には、眼球の他にも、眼球を動かすための筋肉(外眼筋)やたくさんの神経、血管などが収まっています。その隙間を脂肪が満たしており、外からの衝撃から眼球を守るクッションの役割をしています。この脂肪が眼窩脂肪です。

正常な場合、眼窩のなかはみっちりと詰まっていて隙間がないため、よほど強い衝撃や大きな外傷ができたりしない限り、眼窩脂肪が眼球側へと飛び出てくることはありません。眼窩の形、眼球の大きさや眼球を支える筋肉などに左右で大きな差があることは少ないため、眼窩脂肪ヘルニアになるときは両眼ともになるケースが多いようです。

眼窩脂肪ヘルニアの原因

眼窩脂肪ヘルニアの原因とは一体どの様なものなのでしょうか?

眼窩脂肪ヘルニアのほとんどは、加齢によるものです。歳を重ねていくと、筋肉や靭帯などの組織が少しずつ「痩せて」いきます。これは、加齢によって身体の水分量や筋肉量が減少することによるものと考えられます。腕や足などの部分は筋肉の減少が顕著に現れますが、眼球を支える筋肉も例外ではありません。眼球を支える筋肉や靭帯が痩せていくということは、眼窩を埋めていたものがしぼんでしまうということです。つまり、眼窩に隙間ができてしまいます。ここでできた隙間から、本来ならば眼球の内側にあるべき脂肪が外側へと出てきてしまう、というわけです。

眼窩脂肪ヘルニアのセルフケア方法

「脂肪が飛び出しただけなら、自分で押し込めばいいのではないか?」と考える人はいるでしょう。しかし、「確かに、重大な症状へ発展することもなさそうだし、やってみようかしら・・・」と安易に試すのは危険です。

眼球は非常にデリケートな器官です。少し触れてみると分かるように、他の身体の部分と比べると、目の周りの皮膚は非常に薄くなっています。また、眼球のすぐ裏はたくさんの重要な神経が通っている場所です。そのようなデリケートな場所を無理に押したりして強い圧力をかけてしまうと、思わぬ症状につながることがあります。

眼窩脂肪ヘルニアで悩んだら、まずは眼科の専門医を訪ねましょう。

眼窩脂肪ヘルニアの治療法

眼窩脂肪ヘルニアは、放置しておいてもあまり重大な状態になることはないようですが、目の中にゴロゴロとした異物が常にあるような感覚があったり、飛び出して来た眼窩脂肪の量が多いと、視界を遮られるといったことにもなります。見た目にも気になる場所ですので、治療を希望する人は多いようです。ただし、痛みなどが気にならない場合には、必ずしも手術をする必要はありません。

眼窩脂肪ヘルニアの治療は、基本的にヘルニアの切除手術です。目薬や内服薬などでヘルニアを小さくすることはできません。

切除の方法はいくつかありますが、手術のおおまかな流れは次のようになります。

  1. 点眼薬で麻酔をかけます。
  2. ハサミなどで脂肪ヘルニアを覆っている膜(結膜など)を切り、脂肪を露出させます。
  3. 周囲の組織から脂肪のみを剥がします。
  4. 剥がした脂肪の根本を糸で縛った上で切り離し、眼球に残った組織を眼球の奥へ押し込みます。
  5. 切った膜を縫い合わせます。

大きさや症状の程度にもよりますが、片眼にかかる時間は10~15分程度の手術で、日帰りで両眼同時に手術を行うことも可能です。膜を縫い合わせた糸は数週間でほとんどが自然に抜け落ちますが、術後1~2週間程度が経過した時点で抜糸を行います。縫合の糸によるゴロゴロとした異物感を感じることがありますが、1週間程度で症状は治まります。また、結膜を一度切っているため、出血や充血が見られることがありますが、たいていは1~2週間程度で治る症状です。

気になる手術費用ですが、病院・クリニックによって費用が異なります。ある一定の基準を満たした病院(ある程度の規模で手術数の多い病院)であれば費用は少し高額になりますが、それ以外のクリニック等では低額になることが多いようです。

基準を満たさない病院・クリニックでの手術は、3割負担・両眼で、4~5万円程度が目安です。基準を満たした施設であっても、70歳以上の人であれば、高額医療費制度により12,000程度で手術を受けることができます。

まとめ

眼窩脂肪ヘルニアは、重大な症状はないものの、視界が遮られてしまったり、見た目が変わってしまったりと、日常生活に細かな弊害を生じる病気です。 治療をしようかどうか迷った方は、まず眼科で専門医に相談してみると良いでしょう。

「リンパマッサージなどでなんとかセルフケアをしたい!」と考えている人も、デリケートなあなたの目のことを思いやって、ベストな選択をしてください。