目の病気

原因不明?目の病気「円錐角膜」について

この記事を見ている方の中には、ご自身やご家族などがこの症状の疑いがあるため「円錐角膜」という言葉があることを知った、という方もいらっしゃるかもしれませんね。はっきりとした原因が不明と言われる円錐角膜は、著しい視力の低下、モノが歪んで見えたり光が極端にまぶしく感じるなど、徐々に自覚症状が現れてきます。そして最終段階まで進行しまうと、角膜が破れ、移植手術が必要な事態に。

では、この原因不明の目の病気「円錐角膜」について詳しく見ていきましょう。

円錐角膜とは?

あまり耳馴染みのない病名ですが、意外とヒトゴトではありません。円錐角膜は、軽度なものも含めれば日本では、1000人~2000人に一人は発症していると言われます。

円錐角膜とはその字の通り、眼球の表面部分の「角膜」が、円錐状に尖った状態にあることを言います。通常であれば眼球は球状であるため、角膜もドーム上に弧を描いた形状になっているはずです。

ところが何らかの原因により角膜の中心や上部などが突出し、それゆえに視力が低下したり、コンタクトレンズが外れやすくなったりしてきます。全体的に角膜が薄くなりまずが、眼圧によって一部のみが厚く突出してくるため、モノの見え方が歪んでくるのです。

円錐角膜

円錐状になった角膜の状態は正面から見たときには判りづらいですが、眼球を真横から観察すると確認し易くなります。初期段階では症状としては視力の低下にとどまるため、きちんと眼科で診察していなければ、自分が円錐角膜になっていることに気づかない場合もあります。

円錐角膜の症状

では、円錐角膜によって具体的にどんな症状が出るのでしょうか。軽度から重度へと段階を踏んで、その症状は重症化していきます。

症状1.視力が低下する

初期段階では視力の低下を自覚するようになります。とくに、目への光の入り方が異常になるために夜間の視力低下が著しくなります。逆に、明るい場所では通常より眩しく感じたり、乱視になることでモノが歪んで見えたり、二重三重に重なって見えるようになります。

症状2.異常にまぶしくなる

角膜の突出した部分に濁りが生じるようになり、明るいところで強い眩しさを感じるようになります。

症状3.コンタクトレンズが外れやすくなる

角膜の形状が円錐状になっているため、なだらかな形状のコンタクトレンズが外れやすくなります。とくにハードレンズはハマりにくいため、「コンタクトがよく外れる」といった症状で受診したときに円錐角膜が発覚するケースが多いようです。

症状4.痛みを感じる

角膜の薄くなった部分は刺激に弱くなり、ちょっとしたことで痛みを感じるようになります。そしてコンタクトレンズを装着することもできなくなります。

症状5.急性水腫が発症する

円錐角膜が進行すれば、角膜を構成する「デスメ層」が破れることがあります。それによって、眼の中を循環している「房水」が角膜内に漏れ出し、角膜が白く膨れ上がる「急性水腫」を発症することがあります。

症状6.薄くなった角膜が破れる

重症化すると、角膜の薄くなった部分が破れてしまいます。そうすると早急に角膜移植手術を行わなければなりません。円錐角膜における角膜移植の必要性としては、全体の1~5%といわれています。円錐角膜による失明のおそれは高くありませんが、角膜が破れてしまうことによって感染症を引き起こしたりするおそれがあるため、失明の確率が上がってしまいます。

症状は左右の目に起こり、円錐の形状は非対称です。「医療法人社団実直会 冨田実アイクリニック銀座」には、以下のように記載されています。

初期段階では、乱視の発生と診断されることが多く、メガネやコンタクトレンズで視力を矯正できるため円錐角膜であると気付かないケースが多いのが現状です。

つまり、円錐角膜の早期発見のためには、”自覚症状を放置しないこと”が大切です。医師でさえ、初期段階では円錐角膜を見逃すこともあるのですから。

「光が眩しく感じる・夜、とても暗く感じる」、「コンタクトがすぐに外れる」…などの異常を感じたら、一度角膜の検査を受けるようにしましょう。小さな子どもに起こるケースはまれですが、実際には年齢や性別に関わりなく発症しえます。ですから、子どもが視力の異常を訴える場合にはきちんと耳を傾け、「円錐角膜ではないか?」という疑いも視野に入れるようにしましょう。

円錐角膜の原因

円錐角膜になる原因については、はっきりとわかっていません。しかし、遺伝的要因があることは確かだとされています。隔世遺伝であることもしばしばで、円錐角膜が始まる時期はとくに思春期が多いようです。そしてアレルギーも関係しているとされています。とくに、アトピー性皮膚炎を患っている人の発症率が高く、アトピーによってかゆくなった目をこする物理的な要因が、角膜を円錐にしてしまう原因ではないかともいわれています。

これらのことから、遺伝的な要因に加えてアレルギーを併発することによって、円錐角膜を発症すると考えられているのが現状です。しかしアレルギーを持っていない人が円錐角膜になっていることもあるため、物理的な要因が関係するのであれば、目をこするクセがあったり、コンタクトレンズを外すときに乾燥した目のまま無理につまんで外していることも、原因として挙げられるかもしれません。

また医療法人社団秀明会 遠谷眼科のHP内コラムには、以下のように記されています。

いろいろな研究によれば、円錐角膜が起こる確率は0.05%から0.23%ぐらいであろうと考えられていますが、人種的なことも関係すると考えられています。

近視でコンタクトレンズを使っている人に起こりやすいと考える医師もいますし、アレルギーやアトピーが発症に関係しているのではないかと考える医師もいます。

やはり結果的には原因ははっきりせず、医師によっても見解は違うということがわかります。また、ダウン症の人の5.5%~15%ほどに円錐角膜が起こるといわれており、これは平均値を比較すると、高い比率といえるでしょう。

そして先述したように、思春期にあたる「14歳~16歳頃」には発症しやすく、この時期に起こる円錐角膜は両眼に起こることが多い傾向が見られます。発症して8年~10年ぐらいの間に大きく進行し、その後からは進行が緩やかになることが多いようです。20代後半から30代前半で起こる円錐角膜については進行が緩やかで、角膜移植手術が必要となるほど進行することはまれなようです。

また、「円錐角膜である」と確定は出来ないが、「円錐角膜の疑いがある」という状態は、どの年代にでも見られます。このような場合、原因不明のいびつな乱視が見られます。疑いがある場合、また少しでも自覚症状が重なって見られる場合は、角膜の検査をするため、早急に眼科にかかることをおすすめします。

円錐角膜の治療法

円錐角膜になってしまったら、どのように治療することができるでしょうか?

円錐角膜の初期段階では、それが円錐角膜であると診断できる眼科医自体が少ない傾向にあります。単に視力の低下と診断され、視力矯正(めがねやコンタクト)を処方される場合があります。コンタクトレンズの処方は円錐角膜の根本的治療ではありませんが、円錐角膜によって生じる禁止や乱視を軽減することにはなります。

また円錐角膜だと診断されても、症状初期であれば通常のハードコンタクトレンズを処方されたり、ハードレンズが外れやすい、または固いレンズで痛みが出るという場合には、”ピギーバック”というソフトレンズを間に挟んで装着するよう指示されることもあります。

もしくは円錐角膜専用のハードレンズを、その人の角膜の形状に合わせてオーダーし装着する方法もあります。これらコンタクトレンズの処方による対処は、あくまでも視力矯正に過ぎませんので、円錐角膜の進行を遅らせたり治していくことはできません。

実際に円錐角膜の進行を抑制する根本的な治療法として、20年ほど前にヨーロッパで開発された「コラーゲン・クロスリンキング」と呼ばれるものがあります。一般的には”クロスリンキング”、または”角膜クロスリンキング”などと呼ばれます。

「医療法人社団実直会 冨田実アイクリニック銀座」のHPの説明によると、

クロスリンキングは、角膜にリボフラビン(ビタミンB2)を点眼しながら、365nm波長の紫外線を照射することで、角膜を構成するコラーゲン線維を架橋(クロスリンキング)させる治療法です。

クロスリンキング治療によって、コラーゲン繊維の結びつきが強化されると、角膜自体の強度が向上し、円錐角膜の進行を抑制することができます。治療後は、角膜の強度が約300%向上すると言われており、これまで円錐角膜の効果的な治療法が角膜移植しかなかったことを考えると、とても画期的な治療法が登場したといえます。

とあります。つまり簡単にいうと、「角膜を固くして、変形を防ぐ!」ということですね。実際、角膜の強度が300%も向上するとは凄いことです。

続いて、

眼内の組織に影響がない安全な強さの紫外線を照射しますので、副作用などもなく、非常に安全性の高い治療法です。

ともされており、このクロスリンキングは安全で確実性のある治療法といえるでしょう。

クロスリンキングにも、「角膜上皮」を取り除いて紫外線を照射する「エピオフ・クロスリンキング」、上皮を取り除かずに行う「エピオン・クロスリンキング」があります。「エピオフ」で角膜上皮を取り除いて照射することには、角膜を外気に直接晒すことにより感染症を患うリスクが伴います。また術後の目の痛みを訴える患者もいます。そのため、「エピオン」でクロスリンキングをやりたいというニーズがあるようです。

しかし、通常エピオフで角膜を取り除いたあとに行うリボフラビン(ビタミンB2)点眼を、「角膜上皮の上から」行うことで浸透率が下がるため、エピオンではクロスリンキングの効果がしっかり出ない恐れがでてきます。

どちらでクロスリンキングするかについては主治医と話し合いを重ねて決定することができます。

医療法人社団秀明会 遠谷眼科のHP内コラムによれば、

クロスリンキングは、着実に実績が重ねられてきていますが、それでもこの治療を行えばすべての人の角膜の突出が完全におさえられて、円錐角膜の病気の進行がストップし、視力も元通りに回復するというわけではありません。特に若い人の場合は、円錐角膜の進行する力が強いため、一度のクロスリンキングではおさえきれないという事例もあるようです。

とされています。もし自分や家族が円錐角膜になってしまい治療が必要になった場合、どのような治療方法をとるか、どのような段階を踏むべきかについては、信頼できる眼科によく相談することが必要です。

円錐角膜に関するQ&A

この項目では、円錐角膜についての疑問をいくつか取り上げましょう。

Q1.円錐角膜で、レーシックなどのレーザー手術を受けることは出来ますか?

できません。レーシック、PRK、INTACSなどのレーザー手術は、角膜の突出してきた部分が薄くなり破れてしまう恐れがあるため大変危険です。

Q2.移植手術をした後は再発しますか?

移植後は再発しないといわれています。

Q3.移植をする場合、アレルギーを持っていても安全に手術できるのでしょうか?

出来る場合がほとんどですが、しっかりと医師と相談しましょう。軽いアトピーや喘息の場合、事前に症状を薬で抑えます。

Q4.円錐角膜で、気をつける食べ物はありますか?

普段の食べ物で気をつけるものはありません。手術の前日夜9時以降は、食べ物・飲み物を摂ることはできません。

Q5.移植は円錐角膜が初期の時にしたほうがいいのですか?

いつしても結果は変わりません。しかし、視力がかなり落ちてから長い間放置しておくと、目自体のもつ機能が低下し、移植後視力が回復するのに時間がかかったり、斜視になる場合があります。

Q6.移植をする年齢は関係ありますか?

12歳以上であれば問題ありません。また高齢者の場合も問題ありません。70、80歳の方も米国では大勢の方が移植を受けています。

インターナショナル・アイ・ネットワークでは、木・日曜日以外の9時~16時までは電話(044-722-0121)で相談することが出来ます。海外での移植手術についても相談できるため、お悩みのある方は電話相談を検討しましょう。

まとめ

円錐角膜は、初めのうちは視力の低下くらいしか不便さを感じることがないかもしれません。しかし放っておけば、どんどん視力は落ち、変形も進行していきます。円錐角膜に気づかないまま症状が進行し、コンタクトでも視力が矯正できなくなってくると、円錐角膜がかなり進んで角膜の厚みが400μmを下回り、クロスリンキングさえできないという状態の人もいるといいます。早めの対策がカギになる、といえるでしょう。