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防腐剤フリーが安全とは限らない!目薬の防腐剤のメリット・デメリットとは?

最終更新日:2018/06/28

みなさんが普段、何気に使っている”目薬”。その成分について、じっくりと表示を読んだことはありますか?一言に目薬といっても、実際には様々な種類があります。そして中には、防腐剤が入っているものもあるんです。

「目に入れるものの中に、防腐剤…?」って、なんだか目に悪そうな、不安な感じがするでしょうか?しかしこの「防腐剤」、目薬の保管においてとっても重要な成分なんです。

防腐剤はどんな目薬に入っているのか、また”防腐剤フリー”の目薬は本当にそれだけで安全なのか?”ホウ酸”が添加されているようだけど、「防腐剤フリー」と書いてあるのはなぜ?

今回は、『目薬に含まれる防腐剤』に焦点を当ててまとめました。

目薬に含まれる防腐剤とは?

「目薬を頻繁にさす」という人でも、さすがに1日2日で使い切ってしまう人はいないでしょう。ひとつの目薬を使い切るのに、数週間はかかるのが普通なのではないでしょうか?

しかし、一度開封した容器には雑菌が繁殖する危険性が必ずつきまといます。使い切るまでの期間が長ければ長いほど雑菌は増し、その目薬は目にとって良くないものになっていきます。

これは直接口をつけたペットボトルの飲み物に例えることができます。直に飲んだペットボトルは、いくらそのあと冷蔵庫に保管しても、次の日には、口から入った菌が大量に繁殖しているはずですよね。そんなペットボトルの飲み物を、何日もかけて飲んだりはしないでしょう。

もし口をつけていなくても、開封してしまえば空気中から細菌が入り込み、賞味期限に関わらず劣化して腐っていきます。それと同様に目薬も、空気中や睫毛などに触れた部分からの細菌の混入に注目しなければなりません。

防腐剤は、そのような細菌の繁殖を抑えるために必要な成分として添加されているものです。目薬は本来なら、開封後はできるだけ早く使い切りたいところですが、この防腐剤が入っているために、長い保存期間が実現しているのです。

防腐剤は、多くの裸眼用・またはハードコンタクトレンズ用の目薬に含有されています。ソフトコンタクトレンズ用の目薬には含まれていないのが一般的です。それは、ソフトコンタクトレンズは柔らかい素材でできているため、防腐剤の成分をレンズ内に吸収してしまうからです。防腐剤を含んだレンズをそのまま装着し続けるなら、コンタクトレンズによって傷ついた角膜に、より負担をあたえることになったり、レンズ自体が変形したりすることによって角膜障害につながる恐れがあります。

そんな目薬に含まれる防腐剤の代表的な成分には、

  • 塩化ベンザルコニウム
  • クロロブタノール
  • パラベン

などが挙げられます。

そのほか、「ベンゾドデシニウム臭化物」「パラオキシ安息香酸エチル」「パラオキシ安息香酸メチル」「パラオキシ安息香酸プロピル」「ソルビン酸」などなど…。目の安全のために、早口言葉が捗りそうな成分がたくさん配合されているのです。

中でも「塩化ベンザルコニウム」は殺菌効果が高く、その濃度が高ければ目の角膜を傷つけてしまう恐れがあるほど。もちろん、目薬に使用されている濃度は、一般的には安全な濃度です。

それでも「防腐剤無添加の目薬の方が安心」という考えで、防腐剤フリーの目薬を選ぶ人もいます。しかし防腐剤が入っていないということは、その分、開封後の使用期限が短いということになります。そのような防腐剤フリーの目薬は、開封後、最長でも10日以内に使用する必要があります。

では次の項目では、そんな防腐剤が添加されるメリットについてみていきましょう。

目薬に含まれる防腐剤のメリット

防腐剤の添加については、使用する人によって賛否あることと思います。「雑菌が繁殖した目薬なんて怖い!」と言う人は防腐剤の入った商品を選びますし、「早めに使い切るから防腐剤も無添加であって欲しい」と考える人もいます。

では、「防腐剤が入っているメリット」とはなんでしょうか。

まず先にも述べたように、『使用期限が長い』、『雑菌の繁殖を抑えることが出来る』ということが挙げられます。

通常のボトルタイプの目薬の場合、やはり使い切るには1ヶ月ほどかかるでしょう。取扱説明書でも、「開封後は1ヶ月程で使い切る」ように勧められているものが多いことから、逆に言えば1ヶ月以内であれば、通常は安全に使用可能ということになります。(直射日光・高温を避けるなどの条件があります。)

防腐剤フリーの目薬には、小分けの1回使いきりタイプ、10日使い切りタイプなどもありますが、そうした商品は容器代なのか少々割高になってしまいます。こうしたコストの面でも、通常の容器に入った防腐剤入りの目薬はおトクと言えるかもしれません。

実際のところ眼球にとっては、しっかりと安全性を計算し配合された防腐剤より、繁殖した細菌入りの目薬のほうがよっぽど害であると言えるのではないでしょうか。

また旅行先などに目薬を持っていく場合、移動が多いので目薬を冷蔵庫に入れておくということができません。防腐剤入りの目薬なら、直射日光が当たったり温まったりすることを防ぐためにも鞄の底のほうにしまっておけば、持ち運びをしても安全です。

目薬に含まれる防腐剤のデメリット

防腐剤入りか無添加かを選ぶのに、防腐剤のデメリットも知っておく必要があります。防腐剤の添加がデメリットとなり得るのはとくに、ドライアイの人・または高齢者の方です。

防腐剤の成分として、「塩化ベンザルコニウム」というものをご紹介しましたが、これにはタンパク質を変性させる作用があります。角膜が若く、正常な状態の目に使用する分には問題ない配合ですが、高齢者には必ずしも安全とはいえないかもしれません。

「塩化ベンザルコニウム」は、長年使用してきて傷も多くついているであろう高齢者の角膜にとって、刺激が強く感じるかもしれないからです。また高齢者にはドライアイが多く、眼球の表面が充分な量の涙で保護されていない状態で使用することになるでしょう。そうすると角膜の傷から防腐剤が入って、留まることになります。

若い人でも、ドライアイであれば同じく注意が必要です。正常な状態の目よりも涙の分泌が少なくなっている状態なので、防腐剤の成分が涙で流されず、角膜の表面に長時間ついたままになります。これが、角膜を傷つけてしまう原因になってしまうのです。

このような人は、防腐剤フリーの目薬を使用するか、または「塩化ベンザルコニウム」が含まれていないものを使用すると良いでしょう。

先にご紹介した防腐剤の成分、「塩化ベンザルコニウム」、「クロロブタノール」、「パラベン」の中で最も強い殺菌成分を持つのは「塩化ベンザルコニウム」です。次に「クロロブタノール」、そして「パラベン」と続きますので、「塩化ベンザルコニウム」不使用であれば眼にしみる感じがしないという人もいます。

ちなみに、ドライアイのために目薬をさしていると言う人は、防腐剤のほか「清涼感を出すための成分(ハッカ油など)」の添加にも注意しましょう。乾いた目を潤し、スッキリ感も得たいからと言って「目がスーッとするタイプ」の市販目薬は避たほうがよいと言えます。

なぜなら、ドライアイの人は、そうでない人と比べ角膜が傷ついています。そこに刺激のある成分を点眼することによって、充血を引き起こしたり、視力さえかすむようになる恐れが出てくるからです。

コンタクトレンズを使用している人、またドライアイや高齢者の方は、できるだけ目薬も眼科にかかって処方してもらうのがベストです。毎回受診する余裕が無ければ、市販のものでどんな商品を選べばよいか相談しておくと良いでしょう。

防腐剤フリーに潜むリスクとは?

防腐剤が無添加といえばとても目に優しい感じがしますが、リスクは無いのでしょうか?防腐剤フリーの目薬は、細菌が繁殖しやすい環境であることは間違いありません。

開封から10日を過ぎたものは、「もったいない」などと思わず必ず捨てるべきです。ですから、日付管理は徹底しなければなりません。開封した瞬間から、空気中の細菌は目薬の中に侵入していきます。

なかでも、「アカントアメーバ」という細菌は角膜炎を引き起こす代表格ともいえる土壌微生物です。これがもし目薬の中で繁殖し、点眼の際、角膜の小さな傷から中に入り込むと角膜に腫瘍ができ、「黒目を削る」という聞くだけでゾッとしてしまう手術をしなければならなくなる事例もあります。

ほかには、

  • 黄色ブドウ球菌
  • インフルエンザ桿菌
  • 表皮ブドウ球菌
  • 淋菌

などといったものが原因菌となり、細菌性結膜炎になる危険があります。

淋菌による結膜炎を膿漏眼ともいいますが、これら結膜炎の症状としては

  • 黄色みがかっためやにがたくさん出る
  • 白目が充血する
  • モノが見えづらくなる(かすむ、ぼやける)
  • ゴロゴロ、チクチクなど、目に違和感が出る
  • 眼球が重く、痛い

などが出てきます。こうなると治療は眼科でとなってきますし、完治には時間もかかります。薬もまた点眼薬の抗生物質なので、同じくその目薬での菌の繁殖に気を配らなければなりません。

このように、「目に負担をかけたくない」という想いから選んだ防腐剤フリーの目薬が原因で目の病気になることもある、ということを念頭においておく必要があります。

防腐剤フリーの目薬を使うときは、

  • 開封した日付(捨てる日付)を容器に書いて、一目でわかるようにする
  • 冷蔵庫などの冷暗所に保管する
  • 容器がまつげや指などに触れないよう注意する
  • 10日を過ぎたら必ず破棄する

などの注意点を守るようにすることが必須です。点眼するときは、目薬が出る部分だけでなく、「ふた」の扱いにも注意しましょう。ふたが容器に触れる部分に触ったり、床に落としてしまわないように注意します。これが意外と盲点で、ふたに付いた雑菌が容器の中に入り込み、あっという間に繁殖する恐れがあります。

しかしかがら、「防腐剤フリー」と表示された目薬の中にも、「ホウ酸」が含まれている場合もあります。ホウ酸は、”ものもらい”の治療などで使う”ホウ酸水”などで知られる殺菌作用のあるとされる成分です。

「ホウ酸が入っているのに”防腐剤フリー”を謳っていいの?」と思われるでしょう。そもそも防腐剤は、その名のとおり「菌の繁殖を抑える=防腐をするため」に配合するものです。

ホウ酸の含有については、「薬物の安定性や角膜透過性を向上させたり、薬物や他の添加物の分解などによる経時的なpH変動を防止するため」ということが目的とされています。つまり簡単に言うと、「薬剤の変化を抑えるため」ということですね。

ですから、防腐剤フリー目薬の成分表に「ホウ酸」と表記されていたとしても、「目薬の成分の安定剤」と考えることが出来ます。

メリット・デメリットを理解し、適切なものを選ぼう

以上の点から、防腐剤が入っているからといって「目に悪」ではない、また防腐剤フリーの目薬が必ずしも安全というわけではないことを理解していただけたと思います。

「使用期限の管理を怠ってしまうかもしれない」、「菌の繁殖が怖い」、「たまに容器がまつげに触れてしまうんだよな…」という人は、防腐剤入りの目薬を使ったほうが目にとっては安全と言えるかもしれませんね。

コンタクトレンズをを使用している人は、ソフトなのかハードなのかにより、その場その場で使い分けることも大切です。

眼科医によれば、「防腐剤入りの裸眼用目薬を使用した場合、コンタクトの装着は15分ほど空けたほうが良い」とされています。ハードコンタクトの場合、装着中に点眼するのであれば防腐剤入りでも問題ありません。目が渇き気味だったり、「角膜が弱い」と自覚している人ならば、使いきりタイプの防腐剤フリー目薬を使用するのが良いでしょう。

また、できるだけ目薬に頼り過ぎない生活習慣を身に着けるのも、目にとっては良いことです。パソコンや読書などの作業の合間には目を定期的に休めること、まばたきを意識的にたくさんすること。目薬の代わりにあくびなどをして、「自分の涙」で目を潤すこと。結局は、自身で分泌した涙が一番良い成分なのです。

さらに目薬をさす上で意識したいのは、「目が乾く前に」点眼することです。目が乾いてからでは、すでに目の表面の防御力が落ちている状態になっています。ですから、「目が乾いたな」と自覚してからではなく、時間を決めて点眼するのがオススメです。目薬をさすときは、眼球に直接落とすよりも、下まぶたを指で下げ、粘膜の赤い部分に落とす方法が良いでしょう。そうして、目をパチパチせず、数秒閉じることで目の全体に液を行き渡らせることができます。

自分の生活スタイルや目の状態などと相談して、それぞれに合った適切な目薬を使用することが大切ですね。

ライタープロフィール

karaです。難しいことを丁寧に説明することを心がけます。
   

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