目のコラム

視力は回復できない!が、仮性近視なら望みありかも

現代では、日本人の半数以上がメガネやコンタクトレンズなどで視力矯正をしていると言われています。スマートフォンの普及により若年層の間でも視力の低下が深刻化しているので、視力についての話題は、多くの方にとって身近なものでしょう。

視力の低下はメガネやコンタクトレンズなどで矯正できますが、裸眼と比べてしまうと手間や管理が面倒です。特に、直接目の中に入れて使用するコンタクトレンズは目のトラブルの元になりやすいので、できれば使用したくないという方も多いのではないでしょうか。

視力を回復するためにレーシックという手術を受ける方法もありますが、手術代が高額なのに加え、リスクもあるのでなかなか手を出しづらいものがあります。もっと簡単に視力回復できる方法はないのか気になるところですよね。

しかし残念ながら、一度低下してしまった視力は回復しません。視力が回復すると言われているのは、一時的に視力が低下している「仮性近視」です。仮性近視であれば、適切な対処をすれば視力が回復する可能性が十分にあります。

今回は、仮性近視について詳しく説明します。近視との違いや、仮性近視の原因、視力回復の方法などをまとめました。近視の方も、視力が回復しないからと諦めて放っておくのではなく、視力が悪化するのを防ぐためにも仮性近視について知っておきましょう。

一度悪くなった視力は回復しない

一般的に「目が悪くなる」と言うと、遠くのものが見えづらくなる「近視」のことを指すことが多いです。近視はメガネやコンタクトレンズで矯正できますが、ケアやメンテナンスが必要なので視力回復を望む方も多いことでしょう。しかし、基本的に近視を治すことはできません。

近視の方の目は、健康的な方の目に比べ、眼球が奥に伸びている状態になっています。眼軸という部分が伸びていることになるので「軸性近視」とも呼ばれますが、一度伸びてしまった眼軸を元に戻す方法は現在では見つかっていません。つまり、一度悪くなった視力は回復することがないということです。

レーシックという視力回復手術を聞いたことがあるでしょうか。レーシックは眼軸を元に戻すのではなく、角膜を削って屈折率を変えて視力を回復する手術です。一度角膜を削ると厚さがそのまま維持されるので、レーシックの効果は半永久的なものだと言われています。

しかし、レーシックは保険適用外の手術のため手術代が高額なことが多く、また、術後の感染症の危険や角膜の変形などのリスクがあるので、視力回復のメジャーな方法とは言い難いところがあります。ICL(有水晶体眼内レンズ)を目の中に移植する方法などもありますが、レーシック以外の視力回復方法でも手術が必要となります。

近視を治すことができる手段は、今のところレーシックをはじめとする手術しかありません。手術を必要としない視力回復法の情報が巷に溢れていますが、近視には効果がないということになります。

視力回復に関する都市伝説

ブルーベリーが目に良いという話や、遠くのものを眺めると視力が回復するという話を聞いたことはありませんか?他にも視力回復方法の情報が多く出回っていますが、真偽が気になるところですよね。

結果を言ってしまうと、上記で説明した通り、近視は手術をしない限り治ることはありません。しかし仮性近視に関して言うならば視力が回復する可能性がありますし、目を健やかに保ち、近視の悪化を防ぐことはとても重要なことです。「視力が回復しないから嘘」と突き放さずに「目に良い」と言われる理由を確認してみましょう。

ブルーベリーを食べると目が良くなる

「ブルーベリーは目に良い」という話を何となく聞いたことがある方も多いことでしょう。ブルーベリーに含まれるアントシアニンという紫色の色素が目に良いと言われています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、視覚関係のたんぱく質の合成に関わることで視力低下の防止、さらには白内障の予防にも効果があると考えられています。

アントシアニンを含む野菜・果物は他にもあり、ナスやシソ、紫いもなど青紫色のものがあげられます。その中でもブルーベリーは果実の中心まで色素が詰まっているので、「目に良い」と言われることが多いのです。

アントシアニンを豊富に含んでいるブルーベリーは抗酸化作用が強く、目の不調だけではなく、アンチエイジングや身体の免疫を高める効果的も期待できます。目が良くなるからブルーベリーを摂取するというよりは、心身の健康のために摂取するのが良いかもしれません。

遠くの景色を眺めると目が良くなる

マサイ族の視力は3.0~8.0と言われていますが、これは常に遠くを監視するために目が鍛えられた結果だと言われています。都市に住むマサイ族の視力は一般人と変わらないので、遺伝的なものではないことが分かっています。視力は生活環境に左右される部分が大きいということでしょう。

現代ではスマートフォンなど近くのものを見ることが多く、遠くのものを見る機会が減っているせいで遠くのものを見る機能が失われ、近視になるとも言えます。「遠くの景色を眺めると目が良くなる」と言っても間違いではありませんが、「近くのものばかりを見ていると目が悪くなる」と言った方が適切かもしれません。

現代社会では近くのものを見る機会を避けることは難しいでしょう。そのため、遠くを見るのが良いからと遠くばかりを見るのではなく、遠くを見たり近くを見たりして、目をバランスよく使うことが重要です。仮性近視の治療でも近くと遠くを交互に見るトレーニングが行われるように、いろいろな距離のものを見ることが目のストレッチになります。

目を良くするために遠くのものを見るときは、しっかりとピントを合わせることのできる距離を見つめるようにしましょう。よく見えない景色をぼんやりと見ていても、目の機能改善にはあまり効果がありません。

仮性近視なら視力回復の可能性あるかも?

近視と同じように、遠くを見るときに、ぼやけたり見えづらかったりするのが仮性近視です。「仮性」と名がついている通り、一時的な視力の低下を示すので、視力が回復する可能性は十分あります。「偽近視」と呼ばれることもあり、近視とは違うものとして扱われることもあります。

低年齢であるほど仮性近視の割合が多いと言われていますが、最近ではスマートフォンの普及により大人の中にも仮性近視の方が増えていると考えられています。目が見えづらくなってきたからメガネを作ろうとメガネ屋に行く前に、仮性近視の可能性を疑ってみましょう。

また、近視と仮性近視を併発していることもあり、この場合は仮性近視により視力低下が起こっている分に関しては、視力回復が望めます。近視が進行するときは、まず仮性近視になっていることが多いので、近視だから回復しないと決めつけずに視力回復処置を行うと、視力が回復することもあります。

仮性近視とは?

仮性近視

目と見るものが近い状態で作業をすることを近業と言いますが、近業が長時間続くと、目のピントを合わせるために目の筋肉が緊張したままになり、遠くを見たときにうまくピントを合わせられなくなります。この状態が仮性近視であり、眼軸が伸びているためにピントが合わせられない近視とは異なります。

遠くのものが見えづらくなるのは近視と同様ですが、仮性近視は筋肉の緊張による一時的な視力の低下なので、視力回復が望めます。とはいえ、仮性近視の状態が長く続くと近視へと進行していくので、迅速な対処が必要になってきます。

特に、成長期の子供は眼軸が伸びやすいので、仮性近視から近視へ進行の進行が早くなります。一度眼軸が伸びてしまうと、どんな年齢でも治すことができません。そのため、早い段階で仮性近視に気づき、適切な対処をすることが重要です。子供の場合、仮性近視から近視への進行も早いですが、視力回復処置による回復も早いと言われています。

仮性近視かどうか調べるには?

近視と仮性近視は、表向きには症状が同じなので、自分で判別することは困難です。そのため、眼科などの医療機関で目の筋肉の緊張をほぐす効果のある目薬を用いて、視力に変化があるかどうか検査することで、仮性近視の判断します。

また、「オートレフケラトメーター」という近視・遠視・乱視などの度数を自動的に測る機械で視力を測定したとき、良好な結果が出るのにも関わらず、実際は遠くのものが見えづらいというときも仮性近視の可能性が高いでしょう。

近視と仮性近視の判別は難しいところがあり、仮性近視の割合が多い子供の場合、とりあえず仮性近視の治療を2、3ヶ月続けて、治療の効果がないときは近視と判断し、メガネやコンタクトレンズでの矯正に移行していくケースも多く見られます。

ごく初期の段階の仮性近視では、スマートフォンから目を離したときに視界がぼやける、疲れているときは目が見えづらくなる、というように、視力の変化を自覚できるケースがあります。この段階であれば、しっかりと目を休めることができれば自然に症状は回復します。しかし、そのまま放っておくと仮性近視になり、さらには近視へと進行していくので注意が必要です。

仮性近視で視力を回復させる方法

仮性近視の場合、水晶体の厚さを調節する毛様体という筋肉の緊張を取り除くことで視力回復が望めます。眼科などの医療機関では毛様体筋の緊張をとる目薬を点眼することと、毛様体筋を柔軟にする訓練が主な治療方法ですが、後者の方法は自分でも行うことができます。

それでは、視力を回復させる方法を確認してみましょう。以下の方法は疲れ目などの目のトラブルにも効果的なので、目の不調を感じたときに行うのもおすすめです。近視の場合、視力回復の効果はありませんが、視力の悪化を防ぐことができるので積極的に行いましょう。

方法1「スマホやパソコンの使用を控える」

仮性近視は、スマートフォンやパソコンなどの画面を長時間見ていることが大きな原因です。そのため、まずはスマートフォンやパソコンの使用を控え、さらなる視力の悪化を防ぎましょう。画面をずっと見ているとまばたきが減り、ドライアイや疲れ目にもなりやすいので、視力だけではなく目の健康を保つためにも長時間のスマホやパソコンの利用は避けた方が良いです。

仕事などでパソコンの使用を控えられないときは、1時間に1分程度で良いので、まぶたを閉じて目を休ませると効果的です。また、たまに遠くを見て、遠い場所にピントを合わせると、緊張しっぱなしの筋肉を緩めることができます。近くだけを長時間見続けないように、たまに遠くを見ることを心がけましょう。

方法2「目を温める」

目を温めると、目や目周辺の血行が良くなるので、筋肉をほぐす効果があります。リラックス効果もあるので、目だけでなく心身の疲れを感じたときや、気分転換したいときにもおすすめです。

目を温めるには、ホットタオルを使う方法が手軽で簡単なのでおすすめです。ホットタオルは濡らしたタオルをレンジで1分ほど加熱するだけで簡単に作ることができます。タオルの絞り具合やワット数により、適切な加熱時間が異なるので、様子を見ながら温めましょう。

ホットタオル

ホットタオルを用意できない環境では、閉じた目の上に手をあて、手の熱をじんわりと目に伝えるだけでも効果があります。目を閉じるという行為自体が、目を休めるのにとても効果的なので、目を温めるときは目を閉じるようにしましょう。

方法3「目の体操」

凝り固まった目の筋肉をほぐすために、目の体操が効果的です。まずは眼球をなるべく大きい半径になるようにぐるりと回転させます。20秒から30秒ほどかけて、ゆっくりと1回転させましょう。右回り、左回りを交互に行います。

そして、上下左右へと目を動かします。なるべくゆっくりと動かし、眼球の筋肉の動きを意識しましょう。目の体操は筋肉を均等に使うように、バランスよく行うことがポイントです。一部の筋肉だけ酷使してしまうと、筋肉のバランスが崩れ、目に負担がかかってさらに視力が悪くなったり、疲れ目になったりすることがあります。

方法4「ステレオグラム」

ステレオグラムは両目の視差を利用して平面図を立体的に見ることができる画像です。ステレオグラムを立体的にみることをステレオビュー、または立体視と言います。ステレオグラムは交差法と平行法という2つの方法で見ることができますが、交互にそれぞれの方法でステレオグラムを見ると目のストレッチになるので視力回復に効果的だと言われています。

交差法は近くでピントを合わせる方法、平行法は遠くでピントを合わせる方法なので、交互に行うと、近くを見たり遠くを見たりすることと同じ効果があります。単純に近くを見たり遠くを見たりするよりも、意識的に目を使うことができるので、ストレッチ効果が高くなります。

立体視は人によってなかなか見ることができない場合がありますが、練習すれば必ずできるようになります。ネット上にもさまざまなステレオグラムがあるので、いろいろと試してみてみましょう。

方法5「目のツボを押す」

目の周辺にはさまざまなツボがあります。目のツボは疲れ目に効果的だと言われますが、目の筋肉をリラックスさせることができるので、視力回復の効果もあります。ツボ押しは手軽に行うことができるので、ちょっとしたすき間時間に最適です。

目頭のくぼみにある「晴明(せいめい)」、こめかみの下のくぼんだ部分にある「太陽(たいよう)」、眉間の眉の生え際にある「攅竹(さんちく)」などは目によいツボとして有名です。これらのツボを、それぞれ両手の人差し指で優しく指圧します。

晴明(せいめい)

晴明

太陽(たいよう)

攅竹(さんちく)

攅竹

目周辺のツボを押すときは、優しく押すようにしましょう。目元はデリケートは場所なので、強く押し込んだり擦ったりすると、目や目元の肌にダメージを与えることがあります。

方法5「寄り目をする」

何となく寄り目は目に悪いというイメージを持っている方も少なくないと思いますが、寄り目は目のストレッチになるので、むしろ目に良い効果があります。仮性近視になっている方は、筋肉が緊張しているので寄り目ができない方が多いです。意識的に寄り目をして、目のストレッチを行いましょう。

簡単に寄り目ができる方法としては、まず片手を親指を立てた状態で握り、身体の前に突き出します。その親指の爪にピントを合わせたまま、腕をゆっくりと目の方に近づけます。すると、自然に寄り目ができます。さらに、親指の爪先にピントを合わせたまま腕を元に戻していくと目のストレッチに効果的です。

指と目の間の距離が5センチ程度になってもしっかりとピントを合わせられると、目の筋肉が柔軟な状態だと言えるでしょう。

まとめ

遠くが見づらいのはとても不便ですよね。視力はメガネやコンタクトレンズで矯正できますが、やはり裸眼で過ごしたいものです。しかし、近視を治療する方法は手術以外になく、視力が悪化しないように防止することしかできません。

近視の視力回復は望めませんが、近視とは異なる原理で遠くが見づらくなる仮性近視は一時的なものであり、視力回復の可能性は十分にあります。仮性近視は眼科などの医療機関で診断されますが、専門的な治療を受けなくても、自分で視力回復することができます。今回紹介した、視力を回復させる方法を活用してみてください。

仮性近視は子供に多いと言われていましたが、スマートフォンが普及したことにより近くのものを長時間見つめることが増えたので、大人にも仮性近視の方が増えています。目が見えづらくなったと感じたときは、メガネ屋へ行く前に、まず眼科へ行きましょう。

現代社会では、目を酷使しがちなので、目のトラブルが起こることが非常に多くなっています。疲れ目やドライアイ、そして視力低下も生活環境によって起こるケースが多いです。視力回復方法を試すのも良いですが、まずは視力が低下しないように、生活環境や生活習慣を見直しましょう。