*

網膜剥離とは?原因は格闘技以外のスポーツだけじゃない!

最終更新日:2018/06/28

「目」は、ほとんどの時間身体の外にむき出しになっている、唯一の臓器。普段から特に気を配り労わっていなければ、様々な病気にかかるリスクがあります。

そんな目の病気の中でも注意したいのが、”網膜剥離”。格闘技などの激しいスポーツを行っている人が患いやすいイメージがありますが、それ以外の人でも、注意しておきたい病気なのです。網膜剥離とは一体、どのような病気なのでしょうか?その原因と症状、また治療法についてまとめました。

網膜剥離とは

まず、「網膜」とは一体どんなものか、その働きについてご説明しましょう。

網膜は、眼球の奥(眼底)にある、薄い膜です。眼球の正面から光が入ると、まず目の表面「角膜」を通り、前房、水晶体、硝子体と続き、最後に網膜で焦点を結びます。この網膜に入った光が視細胞で電気信号化され、視神経を通じ脳に伝わることによって「見える」という状態になります。網膜は0.1mm~0.4mmと非常に薄い膜ですが、10もの層に分かれた非常に繊細な組織です。

眼球の中は、ゲル状の「硝子体」という物質で満たされていますが、何らかの原因により網膜の一部が硝子体に引っ張られ、網膜に裂け目が出来ることがあります。これをそのままにして置くなら、裂け目が広がったり、液化した硝子体が裂け目へと入り込んだりすることで、網膜が剥がれていってしまいます。

これが一般的な”網膜剥離”で、正しくは「裂孔原性網膜剥離」といいます。裂け目から液化硝子体が入り込んでしまうと、入り込んだ水によって膜が膨張し、その圧によって一気に裂傷が加速します。早期に発見することが非常に重要な病気です。

網膜剥離の原因

網膜剥離が起こってしまう原因にはどんなものがあるのでしょうか?

ボクシングや柔道など、激しい衝撃を受けるような格闘技をしている人は網膜剥離になりやすいと言えます。網膜剥離になる原因の一つが、そうした物理的な衝撃を受けることにあるからです。強い衝撃を受ける行為が原因であることから、格闘技以外のスポーツでももちろん注意が必要です。

サッカーやテニスなどでも、ボールが目に強く当たってしまうかもしれません。ロッククライミング、カヌーなど、自然を相手にするスポーツも同様です。体が落ちたり、どこかにぶつかったりするとき、それが目であったなら、網膜剥離に繋がることもあります。

スポーツをしていない人でも、思いがけない事故によって目に衝撃や打撃を受けるならば、網膜剥離になる恐れがあります。最初の項目でご説明したとおり、網膜剥離は、傷ついた網膜の裂け目から徐々に剥離が進行します。そのため、剥離のきっかけとなる出来事から時間を置いて気がつくことが多くあります。

例えば自動車事故で目の辺りを強く打ちつけ、そのときには視界に違和感がなかったとしても、時が経つに連れて自覚症状が現れることもあるのです。物理的な衝撃以外には、加齢によるもの、また糖尿病網膜症などの病気が原因になることもあります。とはいえ、10代の若者でも網膜剥離にかかることはめずらしくありません。

ある10代の方の体験談によれば、視界の中に黒い点が見えるようになり、放置していたところ点が増え、最終的には視界が暗く見えるようになったそう。そこで初めて危機感を抱き受診したところ、即入院・即手術となったそうです。

始めの黒い点が見えていた時点で既に網膜に穴が空いていて、そこから水が入り込んでいたとのこと。網膜に穴が空いていても、痛みどころか、大して気に留めないレベルの自覚症状のまま進行していくのが、網膜剥離の怖いところです。

網膜剥離の症状

網膜剥離になると、ものはどんな風に見えるのでしょう。

まず網膜剥離の大きな症状として、視力の低下があります。光の焦点が網膜にうまく映らないため、ぼやけて見えるのです。

また網膜剥離の初期段階として、「飛蚊症(ひぶんしょう)」が出ることがあります。先ほどの体験談にもあったように、視界の中に蚊が飛ぶような黒い点が見える症状です。黒点だけでなく、透明なバクテリア型、または毛糸の切れ端ようなものが浮かんで見える人もいます。

暗いところにいたり、目を閉じていても、光がピカピカ光っているように見える「光視症(こうししょう)」になる場合もあります。硝子体に網膜が引っ張られる刺激によって、光が入ってきたのと同じ状態になるため、脳が光を見せているのです。カメラのフラッシュを、部分的に見たような感覚です。

光視症では、常にこのフラッシュのような光が見えている感覚があるはずですが、明るい場所では気づきにくく、寝るときに目を閉じたり、トイレに起きたりしたときに気づくことが多いようです。

この初期段階の状態のうちに眼科にかかればよいのですが、放置しておけば症状は悪化します。

普段の生活でものを見る際は眼球を動かしているため、その反動で、裂けた網膜の内側にはどんどん水分が入り込んでいきます。そうして網膜が膨らんでいき、より、剥離は加速。剥がれた部分は栄養が届かなくなるので、細胞が死んでいきます。そのため、視界が部分的に見えなくなっていきます。目に入る光は上下左右が反転して投影されるため、網膜の上が剥がれたときには視界の下部分が、網膜の下が剥がれた場合には視界の上部分が見えなくなっていきます。

まるでカーテンが引かれるように闇が広がっていき、徐々に視界が狭まっていくのです。そして完全に網膜が剥離してしまうと、「失明」という結果になります。

このような恐ろしい結果にならないためにも、「飛蚊症」や「光視症」の疑いのあるときは、すぐに眼科に相談しましょう。検査によって、剥離の手前であることがわかったら、手術や入院の必要もなく治療することが可能な場合もあります。

また剥離していた場合でも、先にご説明した”裂孔原性網膜剥離”は90%の確率で治るといわれています。発見が遅れてしまえば、その分、治癒率にも影響します。手術が成功したとしても、視野の一部が見えない状態になってしまったり、視力が落ちた状態になることがあるのです。

では網膜剥離であったなら、どのように治療していくのでしょうか。

網膜剥離の治療法

網膜剥離は、早期発見によって剥離を予防することが出来ます。

瞳を大きくしておくための薬を点眼し、眼底検査で網膜を詳しく調べていきます。網膜に裂け目や穴などが確認できたら、それ以上広がったり剥がれたりしないよう、レーザー治療を行います。網膜の裂傷の周辺をレーザー光線で焼き付けることによって、剥離を防ぐことが出来るのです。

治療の際は視覚があるため怖く感じるかもしれませんが、痛みを伴うものでもありません。また入院の必要もありません。

もし剥離が少し進んでいて、液化した硝子体が網膜の内側に入り込んでいる場合は、「網膜復位術」という手術が必要になります。

まず目の外から、網膜が裂孔している部分にあて物を当てます。そしてキズの周りに熱凝固や冷凍凝固を行い、剥離した網膜が剥がれにくくなるよう処置します。網膜の内側に水が溜まっている場合は、水を抜いていきます。必要に応じ、眼球を球状に縛ることもあります。

また、剥がれた網膜を目の内側から押さえつけておく必要があるため、眼球の中に空気や特殊なガスを注入します。こうして、最終的に網膜の位置を元に戻すという内容です。1~2週間の入院期間が求められます。

さらに悪い症状として、網膜が裂けたときに出血し、硝子体に血液が入り込んでしまった場合は「硝子体手術」が必要になります。血液が混ざったことによって濁った硝子体を、取り除かなくてはなりません。この場合は、実際に目の中に細い手術器具を差し込み、目の中から治療していきます。

こちらも剥がれた網膜を押さえつけておく必要があるため、目の中に空気や特殊なガス、またはシリコンオイルを注入します。この場合、入院期間は1~3週間になることがありますが、病院によっては日帰りが可能なところもあります。

いずれの手術においても、術後は”うつ伏せ寝”の体位を取って安静にしておく必要があります。液体の中では、空気やガスは上方向に浮く性質があるからです。その性質を利用して網膜を押さえつけておくために、うつ伏せの姿勢をとるのです。

このように、早期発見と適切な治療によって、失明の危機を免れることが可能です。

しかし、術後の過ごし方にも注意は必要です。退院しても、目の状態が落ち着くまでには1~3ヶ月はみなければなりません。この間に激しい運動をしたり、目が疲れるような作業(長時間の運転やパソコンの使用)などをしないように心がけることが大切です。

実際、車の運転をお仕事にされている方は、手術から2ヵ月後の復帰が認められます。普段の生活においても、重いものを持って眼圧を上げてしまったり、走って眼球に衝撃を与えたりすることがないようにしなければなりません。

また、術後の合併症にも注意を払いましょう。手術が成功し治癒しても、網膜の表面や裏に細胞が増殖することがあります。これを「増殖性硝子体網膜症」と呼びます。

これは通常の網膜剥離よりタチが悪く、手術の成功率も低下してしまいます。さらに放置すれば、失明や、眼球が小さくなるという症状に襲われてしまいます。

まとめ

恐ろしい網膜剥離についてご説明してきましたが、兎にも角にも、早期発見が何より重要なポイントです。少しでも目や視界に違和感を覚えるときは、眼科で相談することが大切ですね。

また網膜剥離であることが明らかになった場合も、気を落とさずに、楽な気持ちでいることが大切です。先にも述べたように、通常の網膜剥離ならば、手術で90%の回復が可能です。激しい動きは剥離を促す恐れがあるので、発覚したら、手術までは出来るだけ安静に過ごしましょう。

ストレスや過度な心配、緊張もよくありません。眼圧や血行、血圧に影響する恐れがありますので、心配があれば主治医に相談し、できるだけ穏やかな気持ちで向き合うことが大切です。

スポーツする人に要注意な病気

スポーツマンは気を付けて!眼窩底骨折の恐ろしさ

ライタープロフィール

karaです。難しいことを丁寧に説明することを心がけます。
   

この記事もよく読まれています

仮性近視とは?原因と治療法

視力が落ちると、メガネやコンタクトレンズの着用を考えたり、度数をあげるという方が多いですよね。

記事を読む

眼球打撲の症状・原因・対処法について

野球やサッカー、ゴルフなどの球技をしていると、ボールが目の周りに当たって怪我をする事故は少なくありま

記事を読む

飛蚊症

【飛蚊症とは】虫が飛んでいるように見える?

「目の中にゴミが浮いているような感じがする」「もやっとしたものが視界をよぎる」といった症状を経験した

記事を読む

目の見え方と病気について(急な視力低下、ゴミのようなものが見える、など)

突然ですが、ある日いきなり視力が低下したり欠けたりしたらどう感じますか?おそらく多くの方が不安や恐怖

記事を読む

まぶたにできもの!マイボーム腺梗塞に注意

まつげの生えぎわに何かプツプツとした白いできものができる、「マイボーム腺梗塞」という症状。これはいわ

記事を読む

子供の目やにで考えられる病気について

朝、起床してきた子どもの目を見て違和感を覚えたことがありませんか?目がしっかりと開いておらず、よく見

記事を読む

ブドウ膜

原田病とは?原田病の症状・原因について

「原田病」と呼ばれる病気をご存知でしょうか? あまり聞きなれない病名ですが、20~40代の女性

記事を読む

春に悪化するアレルギー性結膜炎「春季カタル」とは?

聞きなれない「春季カタル」という名前ですが、子どもを持つ人たちにとっては無関係ではいられない症状です

記事を読む

光視症とは?原因や対処法、飛蚊症・閃輝暗点との違いを解説

日の光もでていないのに、突然目の前にちかちかと光が走ったり、目を閉じているのに光が見えたことはありま

記事を読む

目がまぶしいと感じる病気について

前はそんなことは無かったのに、昼も夜もどうもまぶしい…そんなことはありませんか?実はその「まぶしい」

記事を読む

   
目薬の歴史に迫る!~知られざる意外なルーツ~

目薬にはどんな歴史があるんだろう…?そんな風に思ったことはありませんか

目の健康にご利益のある神社とは?~パワースポットへ足を運ぼう~

あなたは目の健康にご利益のある神社があることを知っていますか?神社には

目に優しいモニターは?モニターの仕組みと光について

デスクワークを行ったり、DVDや動画を見たり、ゲームをしたり…PCやス

白目が濁る?濁りを解消する方法を紹介!

自分ではなかなか気がつきにくい部分ですが、眼球の白目の部分が濁っている

今日からできる、三重まぶたの解消法とは?【老化のサイン】

いつもは二重まぶたなのに、朝起きたら三重まぶたになっていた…な

→もっと見る

PAGE TOP ↑