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点描画の魅力とは?美しい点描画の世界に触れてみよう【画像あり】

ジョルジュ・スーラという19世紀のフランスの画家を知っていますか?名前は思い浮かばなくても、点だけで描かれたジョルジュ・スーラの絵なら見覚えのある人も多いかもしれません。

ジョルジュ・スーラは新印象派の創始者であり、点描表現を用いた新しい表現様式を確立した偉大な画家の一人です。

そこで本記事ではジョルジュ・スーラが始めた点描画の世界をご案内します。点描画を用いた代表的な画家から実際に点描画の作品を見ることができる美術館の情報まで幅広くお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。現代のモダンアートの原点とも言われる美しい点描画の魅力を知り、芸術の世界に触れましょう。

点描画とは

点描画とは絵画の技法の一つで、線を描いたり、塗ったりするのではなく、点の集合で描くものです。点描画は色を分割するので「分割主義」とも言われます。また印象派の色彩理論をさらに突き詰めた形なので「新印象派」と呼ばれることもあります。

印象派の画家たちは絵画における光の表現を追求しました。光と絵の具の性質の違いのおかげで、外の光を絵画によって表現するのには限界がありました。例えば光の場合、赤と青を混ぜれば紫に色になり、それは絵の具の場合も同じです。しかしこの紫色に黄色を混ぜると、光の場合は白くなりますが、絵の具では黒っぽい色になってしまいます。つまり、光には色を混ぜれば混ぜるほど明るくなる「減法混色」という性質があるのですが、絵の具には混ぜれば混ぜるほど色が暗くなる「加法混色」という真逆の性質があるのです。この性質の違いから外界の光を描こうとして色を混ぜて使うとどんどん絵が暗くなってしまうのです。

この齟齬に対して「筆触分割」と呼ばれる色を混ぜずに絵の具を並べ置く手法をとったのが印象派と呼ばれる人たちです。この「筆触分割」をスーラはさらに発展させ、色彩理論や光学理論に基づき、独自の点描手法を編み出しました。スーラは「加法混色」を避け少しでも色を鮮やかにするために、「視覚混合」と「補色対比」という2種類の方法をとりました。

「視覚混合」とはパレット場で色を混ぜるのではなく、混ぜたい色を画面上に点で描くことで見る人の目に混合された色彩を作り出す手法のことです。この手法は並置混色とも呼ばれています。

もう一つの「補色対比」は補色関係にある2色を並置することで互いの色を引き立てる絵画の技法です。この補色対比はよく使用される技法の一つで、マティスなども赤と緑の補色関係を用いた絵画を製作しています。

このように「視覚混合」と「補色対比」という二つの絵画技法を組み合わせ、スーラは点描画を創始しました。この手法は他の新印象派の画家たちに受け継がれ、新たな絵画技法の一つとして受け入れられることになります。

点描画を用いた代表的な画家たち

点描画がどういうものかを知ったところで点描画を用いた有名な画家たちをご紹介します。ジョルジュ・スーラをはじめとした新印象派の画家たちは点描画法を生かし、美しい作品を数多く残しました。

ジョルジュ・スーラ

ジョルジュ・スーラは点描画を開発し、新印象派の道を切り開いた人物です。シニャックとともに点描画を研究し、美しい点描画を残しました。批評家のフェリックス・フェネオンがスーラらを「新印象派」と名付けるきっかけとなった、スーラの代表作が「グランジャット島の日曜日の午後」です。この作品は完成までに2年を費やした大作で、多くの習作や下絵が残っています。スーラは31歳という若さで旅立ったため、時間のかかる点描画作品はそれほど多く完成させていませんが、それでもなお新印象派のシンボルとして高く評価されています。

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箱根へ… #ポーラ美術館 #スーラ

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ポール・シニャック

ポール・シニャックはジョルジュ・スーラと同時代を生き、ともに新印象派の立役者となった人物です。

シニャックはスーラとともに「色覚混合」と「補色対比」という二つの手法を確立させました。シニャックはスーラの死後、新印象派専門ギャラリーを開店するなど、新印象派の名を広めることに尽力しました。スーラが活躍した時代にはまだ一般に知られていなかった新印象派の知名度をあげた存在として新印象派にとって非常に重要な人物なのです。そんなシニャックの代表作は「七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像」です。

カミーユ・ピサロ

カミーユ・ピサロはフランスの新印象派の画家です。もともとは印象派の画家であり、全8回開催された印象派展に欠かさずに出品する勤勉な画家でした。

個性豊かな印象派の画家たちの取りまとめ役を担う一方で、次世代の画家たちにも慕われ、新しい芸術の動向にも強い関心を持っていました。ピサロはスーラやシニャックの影響で点描画を描き始めましたが、晩年には理論的な絵画技法である点描画に限界を感じ、自由な筆致で農村の生活なども描くようになりました。代表作「エラニーの冬 朝、日光の効果」をはじめとし数多くの作品を残しました。

フィンセント・ファン・ゴッホ

言わずと知れたフィンセント・ファン・ゴッホも新印象派の系譜を吹く点描画家の一人と数えられることもあります。ゴッホはスーラやシニャックから強い影響を受けました。点描で描かれた代表作としては「種蒔く人」があります。

シャルル・アングラン

シャルル・アングランはジョルジュ・スーラやポール・シニャックの友人で、ともに独立芸術家協会(アンデパンダント)の設立メンバーの一人です。

1890年代半ば頃から、スーラやシニャックの影響を受けて点描画を描き始めますが、スーラが突然死すると油彩をやめ、コンテによる素描とパステル画を描きました。アングランの絵画は繊細で色彩を抑えた点描画から日本的な要素を持つものまで様々です。ゴッホはアングランの筆致と日本的な要素に魅せられ絵の交換を申し出たとも言われています。代表作としては「couple dans la rue」などがあります。

マクシミリアン・リュス

マクシミリアン・リュスは新印象派の画家の一人です。リュスはジョルジュ・スーラの点描画の技法を紹介され、すぐにテクニックとして取り入れました。

リュスの点描画は計算しつくされたスーラの点描画とは異なり、光の激しさを表現した情熱的な描写であるのが特徴的です。リュスは風景画も多く描きましたが、カミーユ・ピサロやポール・シニャック同様アナーキストであったため、労働者や戦場の絵を多数製作しました。ポール・シニャックを描いた絵が代表的です。

点描画の作品が見れる美術館

著名な点描画家をチェックしたところで、点描画がどこに所蔵されているのかについて見ていきましょう。

クレラー・ミュラー美術館

クレラー・ミュラー美術館はオランダにある美術館です。90枚の絵画と180枚のデッサンで構成されています。

世界で2番目の規模のヴァン・ゴッホ・コレクションがあることで名高く、アムステルダムのゴッホ美術館に並び2大ゴッホ美術館と称されます。屋外展示も豊富で、ヨローッパ最大の彫刻庭園を有しています。緑に囲まれた広大な敷地に彫刻が散在する展示形式は、日本の彫刻の森美術館のモデルとなりました。ゴッホ以外にもジョルジュ・スーラやポール・シニャックなどの点描画家をはじめ、多くの現代美術家の作品を常時展示しています。

入場料

  • 大人:€19.00
  • 0才~6才未満:無料 
  • 6才以上12才まで:€9.50 
  • ミュージアムカード(大人):€9.,50
  • ミュージアムカード(6才以上12才まで):€4.75 
  • 学生 (中級職業教育、上級職業教育、大学):€14.25(学生証の提示が必要)

アクセス

鉄道 エーデ ワーゲニンゲン(Ede Wageningen)駅からバス108番で30分、クレラミュラーミュージアム(Kroller-Muller Museum)下車。

住所

Houtkampweg 6, 6731 AW Otterlo ,Netherlands

オルセー美術館

オルセー美術館はフランスのパリにある19世紀美術専門の美術館です。

オルセー美術館は印象派やポスト印象派など19世紀末のパリの前衛芸術のコレクションが世界的に有名で、ピサロやゴッホ、ジョルジュ・スーラ、ポール・シニャックなど点描画家の作品も非常に多く展示されています。そのほかにもミレーやマネ、ルノワール、セザンヌといった著名な画家の絵画を数多く収蔵しているので、様々な絵画と一緒に点描画を楽しみたいというあなたにオススメです。

入場料

  • 大人:12€
  • 割引:9€(EU圏国籍者以外の18~25歳、火・水・金・土・日16:30以降の入場、木曜18時以降の入場)
  • 無料:18歳未満(パスポートの提示が必要)/18~25歳までのEU圏国籍者、身体障害者と付添い1名、失業者(各証明書の提示が必要)

アクセス

RER C線 Musée d’Orsay駅から徒歩
メトロ12番線 Solférino駅から徒歩
メトロ12番線 Assemblée Nationale駅から徒歩

住所

1 rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris

国立西洋美術館

国立西洋美術館は東京・上野にある西洋の美術作品を専門に取り扱う美術館です。国立西洋美術館では印象派など19世紀から20世紀前半の絵画・彫刻を中心とする松方コレクションが中心に据えられています。そのためピサロやゴッホ、シニャックなどの点描画も多く取り扱われています。

入場料

一般500円
大学生250円
※高校生以下及び18歳未満、65歳以上、心身に障害のある方及び付添者1名は無料
(入館の際に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳を提示)

アクセス

(1)JR上野駅から徒歩で1分(公園口出口利用)
(2)京成電鉄京成上野駅から徒歩で7分
(3)東京メトロ上野駅から徒歩で8分

住所

〒110-0007
東京都台東区上野公園7番7号

ひろしま美術館

ひろしま美術館は広島県広島市に位置する広島県の登録博物館です。フランス印象派を中心にゴッホ、ピカソなどの作品も展示しています。また日本の近代洋画の秀作も多く収蔵しています。シニャック、スーラ、ピサロ、ゴッホなど点描画家の作品を豊富に所蔵しています。

入場料

一般:1000円
大学生・高校生:500円
小学生・中学生:200円
※20人以上の場合は団体割引が適用

アクセス

広島電鉄紙屋町東及び紙屋町西より300m

住所

広島県広島市中区基町3-2

ポーラ美術館

ポーラ美術館は神奈川県箱根町にある私立美術館です。ポーラ化粧品で知られるポーラの2代目である鈴木常司が数十年にわたって収集した美術品を展示するため、2002年に開館しました。展示される作品は西洋絵画や日本絵画、日本画、版画、彫刻と多岐に渡りますが、中核をなすのは19世紀以降の西洋絵画と近代日本絵画です。ジョルジュ・スーラやゴッホなど点描画家の作品も収蔵されています。

入場料

大人1800円
大学・高校生1300円
中学・小学生700円
シニア割引(65歳以上)1600円
※15名以上だと団体割引適用

アクセス

(1)強羅駅からバス(ポーラ美術館下車)
(2)仙郷楼前からバス(箱根湯本駅から湖尻・桃源台行きバス/ポーラ美術館下車)

住所

神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285 

まとめ

ここまでジョルジュ・スーラが開拓した点描画の世界と点描画を用いた主要な画家、点描画が見られる美術館についてご紹介してきました。

点だけで描かれ、光を表現した点描画の世界は非常に美しく、今なお人々を惹きつけてなりません。本記事を参考にジョルジュ・スーラが道を開いた点描画の世界に触れ、点描画家たちが表現しようとした光を感じてみてはいかがでしょうか?